OPC Day Japan2023のアジェンダ
所感
2日間に渡りウェビナーで開催されたOPCDayJapan2023。共通して言えるのは、OPC UAにおける構造化に関する技術が紹介されており、今後、コンパニオンモデルを活用したデータの可用性の高まりとそのトレンドを感じた2日間だった。
まず印象深かったのは「OPC-UA/PackMLを活用した包装機械のIoT化の紹介と、業界標準策定に向けた活動」として、味の素食品におけるプロジェクトケースを紹介したセッションで、生産現場特有の課題に対するアプローチが紹介されていた。
- 働き方改革や経営戦略等への高度なデータ活用に対して、データをより広く取得したいが、データ取得のシステム構築とその維持に課題がある。
- システム構築における検討課題が多い
- 装置のデータがバラバラ(データの意味や粒度、インターフェース)
- リソース(コストと人)の確保が困難
- 業務負荷軽減と最適化を目的として標準化を進める。標準化=データの意味+方法であり、データに意味を持たせる(コンパニオンモデル)ことができ、国際的に標準化されているオープンかつセキュアな通信であるOPCUAの利用にメリットがある。
- 包装業界に対してPackML(OMACが包装・梱包業界向けに策定した仕様/コンパニオンモデル)の導入を推進していく。
また「LADS(Laboratory and Analytical Devices Standard)OPCUA最新情報と今後の展望」でも同様にラボ機器(インキュベータや秤量器など)におけるコンパニオンモデル策定の動きが紹介されており、今後、それぞの業界においてOPCUAを活用したデータ接続とコンパニオンモデルによる統合されたデータ活用がトレンドになっていくことを強く感じた。
ただし問題点も多くあると感じていて、本当の意味でトレンドが形成されるにはまだ時間がかかると思われる。
- 今までデータ活用がより極少な範囲であったため、クローズドなネットワークで構築されてきたシステムや、それが前提に開発された設備・機器を変更していく負担(リソース)が多くなる。
- より広範囲にデータ活用するためにはクラウド活用やオープンなネットワークへの接続が必要となり、セキュリティなども含めてIT/OT間のネットワークやシステム・機器へのクロスファンクショナルな理解が必要となってくる。
そのほか、Catena-XやManufacturing-Xなどのプラットフォームやカーボンフットマネジメントシステム(Empress software japan)の話もあり、企業や国内だけではなく、地球全体で統合したデータの見える化や活用が進んでいくことが理解できた。このあたり、まずは大きな企業において導入されていくと思われるが、中小企業を含めて今のうちに対応しておくことが将来的なリスクとリソースを減らすために必要と言える。
OPCUAはインダストリー4.0において通信標準に指定されており、産業の通信で今後デファクトスタンダードになる可能性を強く感じているので、知識を深めていきたい。